フォーエバー21 店舗展開
【プロジェクト概要】
ファストファッションブランド「フォーエバー21」は、当時、全米各地の中位〜下位モールを中心に約40店舗を展開していました。
低価格路線ゆえに「安さは伝わるが、価値は伝わりにくい」というジレンマを抱え、多くの店舗が「セール前提」の売り方から抜け出せずにいました。
私たちは、まず10店舗を使った「売場改革の実験」からスタート。
大きなCAPEXをかけない前提で、売上・利益をどこまで伸ばせるかに挑戦しました。
【クライアントの課題】
- 低価格ゆえに、ブランドイメージまで「安っぽく」見えてしまう
- カテゴリ別陳列が中心で、お客様の「買い方」と陳列が噛み合っていない
- 売場あたり在庫量が多く、「どこを見ればいいか分からない」状態
【提供したソリューション】
1. 「女性の視野」と動線から組み立てたゾーニング
- 男女の視野角や買い物スタイルの違いを前提にレイアウトを再設計
- 入口から自然に「自分に似合う色のゾーン」に導かれるよう、ブルーベース/イエローベースでエリアを分節
- 床パターン、什器の向き、壁面の使い方を組み合わせ、「三角形に近い回遊動線」を計画し主要商品の視認回数を最大化
2. 什器と商品密度の最適値を再定義
- 「一平方フィートあたり何枚商品を掛けるべきか」を算数レベルで再計算
- 家賃・人件費・オーバーヘッドから逆算し、必要な粗利と回転率を満たす商品密度を設定
- 什器の量だけでなく形状を見直し、「人がきちんと動ける密度」を両立
3. 価格イメージのリフレーミング
- 「安い商品をさらに安く見せる」売場から、「価値が伝わる見せ方」へ転換
- 色・素材・マネキンを組み合わせ、トレンドとスタイリングを軸に訴求
- セールに頼らずとも「フルプライスで欲しくなる」売場を目指してプロトタイプを作成
【得られた成果】
- 実験対象の10店舗で、大きな追加投資なしに売上が約2倍になった店舗も出現
- 売上だけでなく、在庫回転率・粗利率も改善し、ブランド全体の利益構造にインパクトを与える結果に
- この成功を踏まえ、ニューヨーク・タイムズスクエア旗艦店のコンセプトへ発展
└ 100年超の3棟の建物を地下でつなぎ、倉庫用途から小売用途への転換を実現
└ 他社が「貸し出し不能」と判断した物件を、高収益な旗艦店へ変貌させた
【日本企業への示唆】
「商品はいいのに売場で損をしている」ケースは、日本でも非常に多く見られます。
フォーエバー21の事例は、什器の入れ替えとレイアウト調整だけでも、売上構造を大きく変えられることを示す好例です。
アメリカ側の家賃・オペレーションコストを踏まえた「一平方フィートあたりの必要利益」
お客様の動線と視線から逆算した商品密度
この2つを同時に満たす売場設計は、日本からの海外進出においても非常に重要な視点です。
